北九州市 時と風の博物館

日常の中で見過ごされがちな北九州市が誇るべき魅力や個性を、地域資源として私たち自身で編纂し、未来へ繋げましょう。

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平尾台

夏が終わりそうな8月のある日に平尾台を訪れました。
午後5時
麓から山道を上る際に、窓を開けた車内に響いてくるのは、
耳をつくような、ミンミンぜみの大合唱でした。
涼しげな風が吹く緑の多い山道は、夏模様が満載でした。
ところが、木々がなくなる山の上の方では、
草原にたくさんの赤とんぼが飛んでいて、
太陽の色が赤みを増しはじめる午後6時頃、
秋の接近を感じさせるような空気が流れていました。
家族連れや若い男女などが、車を止め、しばらく景色を眺め、
再び、車に戻ってゆく姿を何度か目にするうちに、
いつの間にか誰もいなくなり、
ぽつんとひとりで立っていました。
何を考えているわけでもなく、その場に心地よくいると、
なんだかお腹が減ってきて・・。
頭の中は、風景よりも食欲の秋に切り替わっていました・・。
おいしい空気をたくさん吸ったあとは、
何を食べてもおいしく感じることができそうな予感がし、
車に乗り、連続するカーブをゆっくりと下ると、
薄暗くなりつつある山道から、
窓を開けた車内に響いて聞こえるのは、
ツクツクボウシの大合唱でした。