日常の中で見過ごされがちな北九州市が誇るべき魅力や個性を、地域資源として私たち自身で編纂し、未来へ繋げましょう。
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匠・技術・働くこと

万物は回転する

「万物は回転する…と思わないか」
突然、亭主が私を相手に演説を始めた。他人の前では、ろくに舌が回転しない性格なので、夫婦の情として相槌だけは打っておく。
「饅頭が回転する…のは知ってるよ」
亭主は顔に(軽蔑)という文字を貼り付けて、フンと鼻を鳴らした。
「月は回る、地球も回る、万有は回転しているのだ」
「家計が赤字で、私の目も回る」
亭主の顔に(話にならん)という字が現れた。
「レールのない汽車、という言葉を聞いたことはないか」
亭主は話題を転じた。
「ルールのない亭主というのは聞いたことがあるよ」
私だって、いつまでも漫才に付き合う気はない……。
「着想を実行しよう、事業を進展させようとする場合、心配したり、迷ったりしていては何も出来上がらない」
「ふん、ふん」
「鉄の意志、確たる骨格さえあれば、無軌道でも驀進するのもよい…と、あるベンチャー会社の創業者が語っている」
亭主の言わんとすることが、少し読めてきた。
蒸気機関車C59-1号の動輪を見ながら、レールがない道でもひたすら驀進する(自分の)雄姿を…今は夢見ていたいのだ。
「回転するって、美しいよね」
「うん」
亭主の横顔に、ようやく笑みが浮かんだ。
撮影 九州鉄道記念館で
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