北九州市 時と風の博物館

日常の中で見過ごされがちな北九州市が誇るべき魅力や個性を、地域資源として私たち自身で編纂し、未来へ繋げましょう。

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これがタコ壺★これ1つで結構な重量あるんです

これぞ♪北九州市が誇る関門海峡たこだぞ!

これが彼★どう?素敵な腕っ節でしょ
これも彼★只今見つめ合っています
ひょんなことから、漁船に乗せていただく機会があった。漁船が目指す獲物は、関門海峡を棲家とする「関門海峡たこ」である。関門海峡のすさまじい潮流に鍛われた彼らは、捕らえられた後、船上を歩き、船から飛び出す程の勢いをもつという。どれ程の剛腕っぷりか見物である。
一つの仕掛け(ロープ)に繋がっているタコ壺は50個。一度出航すれば、6~8箇所の仕掛けを回るという。漁師さんは、一度の出航で300個以上のタコ壺を引き上げるのだ。関門海峡の海の底、すさまじい潮流を受けるタコ壺を引き上げるのだから、簡単なことではない。漁師さんの卓越した技術にしばし感動する。
出た出た出たぞ!タコ壺から、放射状にたくさんの足を動かしながら、彼が現れる。ものすごいパワー、勢い、スピードで甲板を移動する。関門海峡の速い潮流に負けないように、岩にしがみつき育ったため、足が太く、短く、吸盤が足の先までついている。しばらくすると、漁船は引き上げられたタコでいっぱいになった。
関門海峡という狭い海域に生息するタコは、数量的には少ない。タコはアワビやウニと同じで、勝手に獲っては密漁にあたる。資源が枯渇しないように小さなタコは放流し、タコの禁漁期間を設け、産卵用の壺を海に沈める活動を行うなどして、資源の保護に努めている。ここで生きる漁師さんたちは、ただ獲るだけではなく、資源を育み、守り、そして後世へつなげていくための活動もおこなっているのだ。日頃の漁を行いながら、資源保護のための活動も平行しておこなう。文章で書けば簡単なことかもしれないが、それはそれは、本当に大変なことなのだ。
ここ数年で、「関門海峡たこ」というブランド名は全国区へ広がりつつある。身が締まったタコは、歯ごたえはあるけれど、パツンと噛み切れる。そして、噛めば噛むほど甘味がにじみ出てくる。文句なしのうまさ!日本一のタコであることに間違いはない!そして、これが、関門海峡という自然立地条件だけではなく、海で生きる人々の努力によって生み出されたものであることを、このまちに生きる者として、心にとめておきたいと思った。
しかし、味わう時には、ただ単純にタコと向き合い、ならではの風味と食感をただただ、堪能してもらいたい。