北九州市 時と風の博物館

日常の中で見過ごされがちな北九州市が誇るべき魅力や個性を、地域資源として私たち自身で編纂し、未来へ繋げましょう。

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若松北海岸

厚い雲に覆われることが多い、平成26年6月上旬の午後、
じめじめとした室内で、
すがすがしさが求め、
熱めの紅茶に輪切りレモンを入れ、
ゆっくりと味わっていると、
よい香りに包まれた、まではよかったんですが、
いまひとつ物足りなさを感じ始めました・・。
なんだろう、なにが足りないのかなぁ、と自問すると、
頭の中に残っていた古い過去の残像で、
ウッドデッキのオープンテラスに座り、
トンボのめがねのようなサングラスをつけ、
蒼い海から吹く風に髪をなびかせ、
両手のひじをテーブルにつけて
遠くを見つめ、思いにふけている女性の前に、
遅れて到着した男性が、誤っている姿が
めぐりはじめました・・。
そして、ふと、今、この室内に足りないものは、
“風”かもしれないと思い込んでしまい、
梅雨空に囲まれた、砂浜でさわやかな風を感じようと、
若松北海岸に向かうことにしました。
夕暮れ時の砂浜には、静かな波がよせたりひいたり、
いつしか、思いにふけてしまっていました・・。
でも、そんなとき、
大学生のような女性5人組から
“すみませ~ん、写真をとってください”と頼まれ、
つい、こないだ、ちびっ子に手を振られ、
今一つの表情で対応した自分の過去に似たような
シチュエーションが再度、訪れました。
こんどこそは・・、
そんなに肩の力を入れなくてもいいはずなのに、
ごめんなさい、こんな自分が嫌いです・・。
“はい、とりまーす”と叫んだら、
皆、両手を高くあげ、素敵な笑顔を見せてくれました。
その表情がとっても自然で、みずみずしく、
なんだか、元気を与えられたように感じ、
うれしくなり、
笑顔っていいなぁって、って思いました。