なんてたって京舞
■ 時風3180 ■ 2016-08-05 ■ 投稿者: 散苦遊介
京都の舞妓さんたちが、デパートの催場で踊っている。というので見に来た。
嫌がる夫を従えて、たくさんの見物客をかき分けて、前のほうに突き進んだ。
私は、京都の「舞妓」と「生八つ橋」と「脂取り紙」が大好きなんだ。
それを夫は、あからさまに軽蔑している。
だが、今日はなんだか素直に私と肩を並べて舞台を見ている。
(ああ、そうなんだ…)
舞妓さんではなくて、芸妓のお姐さんがお気に召したらしい。
そちらの踊りだけに、ヤラシイ視線を向けている。
(ぽってりと色つぽいのが、お好みだもんね)
(私はヤセの針金人形だもんね、プン)
優美な舞いが終わって、ちょっとの休憩になった。
隣の夫がなんとなく体をムズムズしている。最前列に出たいらしい。
「さあ、特売場に行くわよ」
夫のジャケットを引っ張る。
「おれ、もっと見たい、家元の井上八千代さんの京舞は…」
ぐずぐずとウンチクを傾けはじめた。
そのとき、一人のオジサンが大胆にも舞台の真ん前に進出した。
見物客大勢の、非難と苦笑と羨望の熱視線が激しく集中した。
夫は、すごすごと私の後ろに従って退場……。
小倉北区井筒屋新館付近で
嫌がる夫を従えて、たくさんの見物客をかき分けて、前のほうに突き進んだ。
私は、京都の「舞妓」と「生八つ橋」と「脂取り紙」が大好きなんだ。
それを夫は、あからさまに軽蔑している。
だが、今日はなんだか素直に私と肩を並べて舞台を見ている。
(ああ、そうなんだ…)
舞妓さんではなくて、芸妓のお姐さんがお気に召したらしい。
そちらの踊りだけに、ヤラシイ視線を向けている。
(ぽってりと色つぽいのが、お好みだもんね)
(私はヤセの針金人形だもんね、プン)
優美な舞いが終わって、ちょっとの休憩になった。
隣の夫がなんとなく体をムズムズしている。最前列に出たいらしい。
「さあ、特売場に行くわよ」
夫のジャケットを引っ張る。
「おれ、もっと見たい、家元の井上八千代さんの京舞は…」
ぐずぐずとウンチクを傾けはじめた。
そのとき、一人のオジサンが大胆にも舞台の真ん前に進出した。
見物客大勢の、非難と苦笑と羨望の熱視線が激しく集中した。
夫は、すごすごと私の後ろに従って退場……。
小倉北区井筒屋新館付近で