北九州市 時と風の博物館

日常の中で見過ごされがちな北九州市が誇るべき魅力や個性を、地域資源として私たち自身で編纂し、未来へ繋げましょう。

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正式名称は「リバーウォーク北九州」。略してRWKと呼ばれる。

晴れた日のリバーウォーク。

小倉城を眺めることができるオープンカフェでは、早朝、お年寄りが憩う姿も。
建築や都市の専門家ではないので詳しいことは知らないが、北九州ほど「川」とうまく調和している政令指定都市はないと思う。
小倉の中心街を流れる紫川の河岸は、きれいに整えられ、風・太陽・木・鉄・・といった情緒的な名前の橋が並んでいる。
特にリバーウォークが良い。歴史感満載の小倉城と、自然豊かな紫川と、幾何学的な現代建築が、ほどよく手を取りあっている。
リバーウォークは、福岡のキャナルシティと似ていると言われることがある。それもそのはず、ジョンジャーディという建築家が、両方とも設計したらしい。
ただ、空間の考え方は両者で大きく違っているようだ。歓楽街にあるキャナルシティが、建築の内部の運河を眺める構造になっているのに対して、リバーウォークの空間は外に開かれている。どの階からも小倉城を真正面から眺望でき、堀と川に面した外周のオープンカフェは一年中市民に憩いを提供している。
そんなリバーウォークは、街並みによくなじんで見える。
しかし、完成当時は、このリバーウォークを批判した人も多いと聞く。
小倉城の横に、突如としてこんな巨大建造物が居座ることになったのだから、当時の違和感はひときわだったろう。
それまでの北九州といえば、グレーやメタルといった無彩色をイメージする人が多かったらしい。そんな街に、ド派手な原色のリバーウォークが現れたのだから、無理もない話だ。
でも、21世紀を迎えたばかりのこの街に、新たな色彩を添えてくれたと考えた人も少なからずいただろう。
リバーウォークを臨むなら、晴れた日の紫川対岸が良い。澄んだ青空と水面にこの建物は良く映える。そして、そこを行きかう人の姿は、なんだか豊かに見える。よそ行きの人影ばかりではない。ゆったりと憩う地域の人の姿が見てとれる。そこには「上質な日常」といった光景が存在している。
この街は、その日常を受け入れたんだと思う。そして、いまや、リバーウォークはこの街になくてはならないランドマークとして市民権を得たのだと。