北九州市 時と風の博物館

日常の中で見過ごされがちな北九州市が誇るべき魅力や個性を、地域資源として私たち自身で編纂し、未来へ繋げましょう。

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関門連携PR列車

平成26年3月1日(土)~31日(月)まで、
鹿児島線や日豊線、筑豊線などの北部九州エリアで、
下関と北九州をPRするため、電車の車両に、
関門橋やスペースワールド、
子育て支援施設のデザインを施して、
見た方が笑顔になるように願いに込めた、
「関門連携PR列車」の運行が開始されました。
1日、列車の出発セレモニーが下関駅で行われるにあたり、
駅長さんが、明治時代から同駅に伝わる手振りの
振鈴(しんれい)で発車の合図をするとのことを
下関市役所ホームページで知り、なんのこと?
だろうと思って、内容をよく読んでみると、
『下関駅の振鈴は駅開業時(1901年)から伝わり、
現存する手振りの振鈴は全国的にも大変珍しく、
駅舎焼失時(2006年)には、3日後に金属部分ががれきの
中から見つかり、すすで真っ黒になっていたものの、
音色はそのまま残され、取っ手などの焼けた部分は、
駅舎焼失前にシンボルであった「三角屋根」の焼け残った
柱の一部を切り出して加工・修復されました。』
といった記載がありました。
これは、普段、お目にかかれるものではなさそうな
予感がしたので、
出発式の鈴ふりを眺めにゆくことにしました。
初めて目にした手振り用の鈴は、大きく、重そうでしたが、
駅長さんが、白い手袋をした両手で、しっかりと握りしめ、
腕を高く上にあげ、振り下ろし、振り上げ、を繰り返すと、
“カーン”、“カーン”といった音が、広がりました。
いつもは、にぎやかな電子音がスピーカーから流れる
駅のホームですが、静まり返ったその場所では、
鈴が奏でる音色のみが行き渡り、
その響きは、しおかぜによって、
海を挟んだ関門エリア全域に、伝わっているように
思えてなりませんでした。
製鐵所がこのまちで操業を開始した年から、
現代まで引き継がれた貴重な振鈴の音色は、
わたしの胸の奥底で鳴りつづき、
発車した電車の走行音をかき消してしまいました。